絶縁ゲートドライバ作ったよ ~ゲートドライバから L 成分を排除せよ!
ちっこいテスラコイル作ってると思う事がありました。500kHz以上の共振周波数になってくるとゲートドライバが厳しくなってくるなぁ…ってことです。まぁちっこいテスラ専用の基板とかなら小さいGDT用意して電流で無理やりIGBT or MOSFETのゲート叩くようにすれば良いんですが, 今回作ろうとしてるテスラコントローラだと駆動予定のコイルは大小様々なものを想定してまして, 低い周波数(100kHzあたり?)から高い周波数(2MHzくらい?)までに対応して欲しいところでしたので, GDT以外のゲートドライブ方式を採用する必要がありました。
GDT方式ではゲートドライブトランスのL成分, ゲート容量のC成分, ゲート抵抗のR成分から成るLRC回路が形成され, 広いレンジの周波数に対応する事が難しいです。系は2次系となるため回路定数によっては応答が振動する場合や共振する場合もあって調整が大変です。特に周波数によってゲインが全く変わるため, ゲート電圧 Vge = 15V とかを保障するのが大変です。(GDTの出力電圧を思いっきり高く設計し, ツェナー等でクランプし無理やり15Vとかにするのも手なんですが, 損失が馬鹿にならないので^^;)
そこで, 出力が周波数に依存しにくい絶縁DCDCを使ったゲートドライバを自作してみることにしました。
これはIRS2108を使った単純なハーフブリッジドライバですが, 外部にゲート電源を用意することで絶縁ゲートドライバとして機能します。写真に写ってませんが, この段階では入力信号はパルストランスで絶縁するという無意味な事をしてたりします^^;
にしても, やはりIRのゲートドライバICはテスラには向いていませんね。遅い遅い^^;
というわけでこのテスト基板は特に利点が無いので, 次に絶縁DCDCコンバータが載ったちゃんとした3相絶縁ゲートドライバを組んでみました。
絶縁DCDC部は共振を利用した高効率DCDCコンバータを構成し, 各3つのコンデンサは各相ハイサイドゲートドライブ用のタンクです。出力は高速スイッチング用のトランジスタでトーテムポール出力とし, 試験の結果2MHzでのゲートドライブができそうでした。(そんな速い素子が無くて実際にスイッチングしてのテストはできてません^^;)
絶縁DCDC部に使用したトランスは自作のトロイダルトランスで, 昔からよく使ってる緑コアに3相分の2次巻線を用意し, 絶縁電源としました。しばらく動かしてると発熱してきますが, 出力は約8W, 効率は92%くらいのようです。出力電圧は入力電圧の1.2倍くらいが出てきます。
モータが回せる絶縁型ゲートドライバ pic.twitter.com/E4fiQKtOoG
— Hkat (@Fushi1212) December 3, 2018
この動画では5V入力ですが一応マクソンモータが回るという, ゲートドライバとしてはオーバースペックなものになってます。動作確認は定格1200V300AのIGBTモジュールをパワーデバイスとし, 共振回路を組んで電子レンジインバータに乗ってた高周波高圧トランスを動かしておこないました。
絶縁ゲトドラの試験としてMWO用トランス動かした pic.twitter.com/glvNMsGEsE
— Hkat (@Fushi1212) December 5, 2018
そのまま短距離無線電力伝送もやりました。共振回路組んだらまずやるよね!!
ゲート容量30~40nFという素子ですが, 波形なまりもほぼ無くしっかり振れているようです。てなわけで絶縁ゲトドラ完成ということで~。